アプリを作ってみたい。Flutterの環境は整っている。AIツールも使える。それなのに、何を作ればいいかがわからなくて、企画段階で止まっていました。
アイデア出しの記事を読んでも、身の回りの不便を探せとしか書いていません。身の回りを見渡しても、既にアプリがある問題ばかりです。自分にしか作れないものなんて思いつきません。そうやって何週間も空回りしていました。
結局たどり着いたのは、ゼロからアイデアを生み出すのではなく、既にあるアプリの穴を見つけるという方法でした。競合アプリの低評価レビューを読み、ユーザーが言語化してくれている不満を拾う。そのアイデアが本当に成立するかを30秒ピッチで検証する。この2ステップで、最初の1本を決めることができました。
競合アプリの低評価レビューに答えがある
最初は自分の頭の中だけでアイデアを探していました。でも、非エンジニアが独力でゼロから画期的なアプリを思いつくのは現実的ではありません。
発想を変えたきっかけは、競合アプリの★1〜3レビューを読んで、その不満を解消するアプリを作るという戦略を知ったことでした。低評価レビューには具体的な不満が書かれています。こうしてほしかったのに対応されていない、ここが使いにくい。ユーザーが既に課題を言語化してくれているわけです。
自分の頭の中で困っている人がいるはずと想像するより、実際に困っている人の声を拾うほうが確度は高いです。しかも既存市場の不満を起点にすれば、需要が証明された領域で戦えます。
★1〜3レビューから穴を見つける手順
実際にやったことはシンプルでした。
まず、自分が興味のあるカテゴリを1つ決めます。自分の場合は生産性ツール系を選びました。次に、そのカテゴリの上位アプリをApp StoreとGoogle Playで5〜10個ピックアップして、★1〜3のレビューをひたすら読んでいきます。
読みながら、不満を4つに分類しました。UIやUXへの不満、欲しい機能がないという不満、広告が多すぎるという不満、そして価格への不満。同じ不満が複数のレビューで繰り返し出てくるなら、それは個人の好みではなく構造的な問題です。
Tip
レビューは直近のものから読むのがおすすめです。古いレビューはアップデートで解消されている可能性があります。
分類した不満の中から、個人開発で対応できそうなものを選びます。サーバーサイドの大規模開発が必要なものや、ライセンス契約が絡むものは除外。FlutterとAIで対処できて、かつ複数のレビューで同じ声が上がっているもの。この条件で絞ると、候補は数個に収まります。
市場にユーザーがいるかどうかの裏付けも取りました。AppMagicのような無料のアプリ分析サイトで、カテゴリごとのダウンロード数の推定値や上位アプリの動向を確認できます。レビューだけでなく、市場規模の感覚も掴んでおくと、的外れなカテゴリに時間を使わずに済みます。
30秒で説明できないアイデアは捨てる
候補が出揃ったあとに使ったのが、30秒ピッチというフィルターです。
テンプレートは単純で、誰が・どんな問題で困っているときに・どう解決するアプリかを30秒で説明できるかどうか。これだけです。
たとえば「集中力が続かない人が、作業に没入できないときに、シンプルなポモドーロで集中リズムを作るアプリ」。これは30秒どころか10秒で言い切れます。逆に「いろんな人の生活を便利にするアプリ」だと、30秒あっても何のアプリか伝わりません。
App Storeでユーザーがアプリを見てダウンロードを決めるまでの時間は数秒から数十秒です。作り手が30秒で説明できないなら、ユーザーは3秒で離脱します。スクリーンショットの最初の2枚とタイトルで勝負が決まる世界で、コンセプトが曖昧なアプリは埋もれます。
自分の候補にも30秒ピッチを当てはめてみました。すんなり説明できるものと、言葉に詰まるものがはっきり分かれます。言葉に詰まるアイデアは、コンセプトが弱い証拠でした。
Important
30秒ピッチは「誰が」「何に困っている」「どう解決する」の3要素で構成します。みんな、生活を良くする、AIで最適化、のような曖昧な言葉が入った時点で、解像度が足りていないサインです。
集客チャネルとアプリのターゲットを揃える
もう1つ意識したのが、自分の発信先の読者とアプリのターゲットを同じ問題領域に置くことでした。
zawablogの読者は、非エンジニアだけどアプリを作ってみたい人です。この読者が抱える悩みと、自分が作るアプリが解決する悩みが同じ領域にあれば、ブログからアプリへの導線が自然にできます。集客、信頼構築、プロダクト体験までが一本の線でつながります。
逆に、ブログでは個人開発の話を書いているのに、アプリは全く別のジャンルだと、読者にとって脈絡がなくなります。初期の集客チャネルがブログやSNS中心なら、ペルソナの一致は意識しておいて損はありません。
競合レビューの分析で候補を出し、30秒ピッチで絞り、集客チャネルとの整合性でさらにフィルターをかける。この3段階で、最初に作るべき1本が決まりました。
完璧な企画書はいりません。30秒で説明できるコンセプトと、それを裏付ける数件のレビュー。この2つがあれば、次のステップに進めます。